キャリア

駐在経験者が中国人のキャリア思考を考察します

比較的中国通のYorkです。

私は2年間程、中国の上海に業務の関係で赴任しておりました。
赴任中は社内外含め多くの中国人と出会い、彼・彼女らと会話する中で、日本人とはあらゆる面において価値観が異なることを身をもって感じてきました。

そこで今回は、中国人の仕事に対する考え方についてお話します。

職場に中国人がいる読者の方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
おそらく多くの日本人は、中国人の仕事に対する考え方が自分たちとは違うとは知らずに、そして特に意識もせずに日本人と同じように接しているように思えます

実はこれが結構、中国人にとってストレスになっていることがあります。もちろん、中国人の方も、日系企業の文化・習慣を事前に把握しておく必要があることは言うまでもありませんが。

社内外問わず中国人と共にお仕事をする機会は多く、そして今後より一層増えていくことと思いますので、彼・彼女らの思考を理解しておくことのメリットは図り知れません。

※あくまで、私個人が感じた範囲での話に過ぎませんのでご了承いただきたく存じます。そうはいっても、中国人について理解する上で少しは参考になるのではないかと思っています。

中国の仕事環境

最初に、中国の仕事環境について簡単にご説明します。
※公務員を除きます。

会社員として働く場合、日本は日系民間企業と外資系民間企業の2つが主ですが、中国は3つあります。

  1. 中国系民間企業:大半がココで働きます。アリババ、ファーウェイなど
  2. 外資系民間企業:日系企業はココに含まれます。
  3. 国営企業:政府100%出資です。中国工商銀行、中国石油など中国〇〇が多い

民間企業

民間企業は中国系と外資系の2つに分けることができます。

ここで大前提を申し上げますと、日本のような年功序列・終身雇用はありません。完全実力主義であり、パフォーマンスが著しく悪いと解雇されることもあるそうです。個々人のパフォーマンスは、数値化できる詳細なKPIで管理されており、達成度に応じて毎年報酬及び役職が決まっていきます。そのため、自分より年齢が10個若い上司ができるといった現象も普通に起こります。また、大手企業で成果を出すと、年収2,000万超えも普通にあります。また、男女平等なので、女性管理職も勿論たくさんいます。

環境は日本人的発想で言うところの「外資系」ですが、欧米ほど解雇はされないようです。

また、日系企業も中国では外資系に該当しますが、日系企業は基本的に日本本社と同じような環境です。解雇されることはほとんどなく、年功序列色も強いです。そのためKPIもボヤっとした抽象的なものが多いです。マネジメントを担う日本人駐在員が年功序列・終身雇用に慣れているので、それを前提としたマネジメント方針に寄ってしまうのは仕方ありません。

日系企業で働く中国人は基本的に日本留学の経験があり、日本語がペラペラであることはもちろん、日本の文化にも精通しています。

というより、中国オフィスなのに日本語スキルを必須要件としている日系企業が多い印象です。日本人駐在員の多くは語学ができないからです(英語も含む)。

加えて、基本解雇に解雇にならないことも知っており、楽な環境を求めて日系企業で働く人も中にはいます。

国営企業

国営企業とは、中国政府100%出資の企業です。金融・インフラ・資源などの国家戦略に関わる業界に多いです。会社の頭に「中国」が付くことが多いです。

この国営企業は年功序列・終身雇用です。しかし、入社するのはかなり難しく、中国国内の有名大学卒、コネ入社が大半を占めるようです。

安定性のある企業ですが、最近の若者からは人気がないと聞いています。
日本の大企業のようなイメージです。

仕事で重視する要素

上述の通り、大半の中国人は民間企業に勤めているので、年功序列・終身雇用という発想はありません。そのため、より良い職場環境を獲得するために常に転職の機会を探っています。では、具体的に仕事においてどんな要素を重要視しているのかを見ていきます!

報酬

仕事をする上で絶対的に重要視するもの、「報酬」です。

拝金主義ということでは決してありません。中国人は根っからの商人なのです。
「労働の対価は報酬」という資本主義の原則を熟知しています。年功序列・終身雇用の日系企業の中に蔓延る「やりがい搾取」は基本的にありませんし、あっても機能しません。

世界中、どこに行っても中華料理屋があるのも、生まれながらの商人気質から来ていると思います。

中国は人口が非常に多く、地域間の貧富の差も大きいため、国民は生活を豊かにするための「お金」を獲得するために日々必死に知恵を絞っています。先進国と比べ社会保障がしっかり整っているわけでもないく、政府に信頼を寄せない人も多々いるので、自分の身は自分で守るという精神が小さい頃から培われています。

スキル

これは上記の報酬と密接につながることですが、より高待遇をつかみ取るために必要なスキルを求めて日々仕事に取り組みます

自分の市場価値に関係ない業務は少し手を抜いたり、そもそも拒否することも起こり得ます。日系企業では必要性がよくわからない雑務がありますが、この点は中国人には受け入れがたいことのようです。

頻繁に自分の市場価値の棚卸をしており、どんなスキル及び経験を得られれば、より高待遇の職に就けるか、それを実現するための具体的なアクションと時間軸を真剣に考えている方が多いです。

日本も最近やっと転職が普通になってきましたので、中国人の上記の思考回路から学べる点は多々あると思います。

中国人のスキルについて言及しておくと、「語学」「ITスキル」は非常に高いです。

◆語学
英語は幼少期から親に叩き込まれます。やはり人口が多いゆえに、条件の良い職に就くための最低限のスキルとして英語は必須です。グローバル都市の上海に行くとわかりますが、ネイティブレベルの英語を話す中国人が非常に多いです。そのため、英語が話せる程度では就職においてあまり有利に働きません。動画視聴だけで日本語を習得した中国人にも多く出会いました。

TOEIC高得点であるだけ(話せるかは別)で年収アップができる日本の労働市場は非常に恵まれていると改めて感じます。

◆ITスキル
中国ではIT関連の企業が近年大人気です。米国の「GAFA」ならぬ、「BAT」という企業群が存在します。検索エンジン最大手の「Baidu」、通販及び決済システム最大手の「Alibaba」、メッセンジャーアプリ最大手の「Tencent」。各社、先進的な業務内容、高待遇ゆえ大人気です。起業するにもIT分野が多く、そのため若者は、理系大学院まで進み、テクノロジーやITを学ぶことが非常に多いです。

肩書と面子

中国は肩書と面子を重んじる文化があります。

実生活では、どこの大学に受かったとか、どこの会社に就職したとか、どんな車に乗っているとか、いくらのマンションを買ったとかです。日本語的に言うところの「マウント」というやつです。

他人の目を気にして行動することは少ないですが、いいように思われたい欲はあるようです。特に重要なライフイベントについては。

中国系企業に勤める方と名刺交換をしたことがある人ならお分かりかと思いますが、誰しもが何かしらの役職がついています

「〇〇経理」という肩書が多いです。経理は中国語でマネジャーの意味であり、例えば「高級経理」「副経理」などがあります。

正しい理由はわかりませんが、自尊心を満たす、責任感を与える、ということが主な理由なように思えます。入社2年目くらいの若手から肩書は付与されます。

中国人と起業

多くの中国人は「起業」について一度は考えます。起業して自分でやっていけるなら、自由度的にも、報酬のアップサイド的にもそちらの方が良いからです。また、中国は上述の通り肩書と面子を非常に重視する文化であり、起業すると「社長」になれますからね。

昨今、中国のシリコンバレーと呼ばれる「深セン」という都市で、毎日多くのベンチャー企業が誕生しているほどに起業家が多いです。分野はやはりITです!人工知能、ブロックチェーン、ドローン、Fintechなど。

年功序列・終身雇用ではないがゆえの不安定性、人口が多いことに加え国も起業を歓迎していることによる機会、これら環境を見ると起業家が多いことにも納得がいきます。

会社を作るまでに至らなくとも、何かしらのスモールビジネス(副業など)を含め、中国人は常にどうしたら儲かるかを考える生粋の商人なのです。

 

まとめ

最後にまとめです。

中国人が仕事をする上で重視する要素は以下です。

  1. 報酬
  2. スキル
  3. 肩書

経営者として中国人を雇う方、もしくは中国人の部下を評価する上司の方は上記ポイントを頭に入れた上で、彼・彼女らと接すると、コミュニケーションが円滑にいくのではないかと思います。

York